建築物の品格は、人間の人格の如く、
その外装よりもむしろその内容にある
ヴォーリズの建築家としての歩みは明治41年(1908)、来日3年目の28歳からだった。京都YMCA会館の現場監督を依頼され、建築事務所(後のヴォーリズ建築事務所を開設)した。スタッフの中には建築を正規で学んだ者は少なく、ヴォーリズを慕う者の集団であったが、アメリカからの建築家も次々参加して設計活動を推進していった。『建築物の品格は、人間の人格の如く、その外装よりもむしろその内容にある』とは1937(昭和12)年に発行された「ヴォーリズ建築事務所作品集」の冒頭からの一コマであるが、これこそヴォーリズが設計に取り組む信念であった。例えば、室内の隅々にほこりがたまらないように、床も天井の隅にも丸みを付け、階段の段差を引く幅をゆったりととり、手すりにも丸みをつけたり……といった具合である。